葉間P3肺癌との鑑別が困難であった肺膿瘍の1例
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概要
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背景.胸部の炎症性疾患である肺膿瘍は,胸部CTやFDG-PETなどの画像所見から結核などとともに肺癌との鑑別を要する疾患である.症例.70歳男性.他疾患で経過観察中の胸部X線で異常を指摘され当院受診.胸部CTで右肺S6に一部S2に浸潤を認める結節を認めた.気管支鏡検査所見で可視範囲は正常で,右B6aからの経気管支肺生検および細胞診で悪性所見はなく,各種培養検査も陰性であった.腫瘍マーカーのSCCが軽度上昇,さらにFDG-PETで右肺S6の結節および右肺門部リンパ節にもFDGの集積を認めたため肺癌を否定できず,診断および治療目的で手術を施行した.術中所見で,腫瘤は右肺S6に存在しS2への浸潤を認めた.確定診断を得るため穿刺吸引細胞診を施行したが好中球のみであったため,右肺S6区域切除,右肺S2部分合併切除を施行した.術中迅速病理組織診断では炎症性変化のみで腫瘍性病変は認められなかった.永久標本の病理組織学的所見で腫瘤内部は線維増生,マクロファージ・リンパ球・好中球浸潤,およびフィブリンの析出を認め,悪性細胞は認められなかった.これらの所見より肺膿瘍と診断した.結論.葉間P3肺癌との鑑別が困難であった肺膿瘍の1例を経験した.
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