大腸腺腫性病変の診断・取り扱い
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概要
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食生活の欧米化にともない,大腸癌(結腸癌・直腸癌)の死亡率は男女とも上昇を続けており大腸癌の予防が急務である.Morsonらのポリープ癌化説に基づき,大腸腺腫は内視鏡的に切除されてきた.米国の大規模臨床試験National Polyp Studyの結果からも大腸腺腫性ポリープを切除することで大腸癌死を抑制できる可能性が示唆されている.大腸腺腫の診断には,通常内視鏡観察に加え,拡大内視鏡を使用した色素内視鏡観察や,Narrow Band Imaging(NBI)といった画像強調観察が有効である.内視鏡切除の際には,腫瘍の大きさ,形態を考慮して最適の治療法(Hot biopsy,ポリペクトミー,EMR,ESD)を選択する.5mm以下の腺腫に関しての治療の必要性に関しては明確なコンセンサスは存在しないが,切除するのが一般的であるが,切除せずに,経過観察がされる場合もある.現在,多施設前向きランダム化比較試験(Japan Polyp Study;JPS)が国内で進行中であり,内視鏡治療が介入することによる大腸癌発生リスク軽減の可能性や,日本独自の内視鏡によるサーベイランス法の確立などが期待される.