糸球体疾患に続発する尿細管間質障害と酸化型血漿albuminの関係 : ―種々の尿中パラメーターとの関連―
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概要
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中等度以上の蛋白尿がみられる原発性糸球体腎炎の患者では,尿細管間質障害の進展に伴って腎機能は進行性に低下すると考えられている。また,末期腎不全症例では血漿中の酸化型albumin(human nonmercaptalbumin: HNA)比率が増加している。そこで原発性糸球体腎炎に続発する尿細管間質障害の進展機序にalbumin分子の酸化/還元状態が関与する可能性について検討した。外来で経過を観察中の原発性糸球体腎炎と保存期の慢性腎不全患者計60症例を検討の対象とした。血漿albuminの還元化率の測定にはHPLC(high performance liquid chromatography)法を用いた。同時に,尿蛋白(u.Pr),尿中低分子量蛋白(α1-microglobulin: u.α1-m, β2-microglobulin: u.β2-m),尿中トランスフェリン(urinary transferrin: u.Tf),尿中肝型脂肪酸結合蛋白(urinary liver-type fatty acid-binding protein: u.L-FABP)の各濃度と尿中ライソゾーム活性(urinary N-acetyl-β-glucosaminidase: u.NAG)を測定した。また血中のalbumin濃度(s.alb)と血中L-FABP(s.L-FABP)も合わせて測定し,それぞれの関連について検討した。血漿albuminの分画測定の結果,eGFR(estimated glomerular filtration rate)の低下に伴って血漿中のHNA比率は増加し,還元型albumin(human mercaptalbumin: HMA)比率は減少した。u.Pr,u.L-FABP,u.α1-m,u.β2-mの各濃度およびu.NAG活性とeGFRの間にはいずれも負の相関が認められた。これらのことから,原発性糸球体腎炎では血漿中のHNAの尿細管上皮細胞への負荷が細胞内の還元環境を障害することで尿細管間質病変を進展させると推察された。また,尿細管間質の酸化的障害にはトランスフェリン結合鉄と脂肪酸の関与が示唆された。
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