透析排液貯留時における微量蛋白質のプラスチックへの非特異的吸着現象緩和法 : ―より正確に排液中溶質濃度を測定するために―
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概要
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透析排液(以下,排液)の全量を貯留する全量貯留法と一部分を貯留する部分貯留法の比較検討を進めていく中で,両貯留法間において,尿素などの小分子溶質の濃度に有意な差は認めなかったにもかかわらず,蛋白質であるβ2マイクログロブリン(以下,β2M)およびアルブミン(以下,Alb)については,全量貯留法が部分貯留法にくらべ有意な高値を示す結果を得た.両貯留法間で,排液1 mL当たりのプラスチック製貯留容器内表面の接触面積に違いを認め,蛋白質が低値を示した部分貯留法の排液単位当たり接触面積が数倍大きかった.これは,プラスチック表面の疎水基と,β2MやAlbなどの蛋白質の疎水基による相互作用による,蛋白質の非特異的吸着現象のためであると考えられた.そこで,親水基と疎水基を併せ持つ界面活性剤に蛋白質の非特異的吸着現象に対する緩和効果について検討した.なお,界面活性剤には,非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)を使用した.その結果,界面活性剤添加による蛋白質の非特異的吸着現象緩和効果により,全量貯留法と部分貯留法の比較において,蛋白質濃度の有意差は解消され,排液への界面活性剤添加の有効性を認めた.
著者
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坂井 瑠実
坂井瑠実クリニック
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喜田 智幸
坂井瑠実クリニック
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松本 正典
坂井瑠実クリニック
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松川 誠
坂井瑠実クリニック 医療技術部
-
佐藤 智香
坂井瑠実クリニック医療技術部
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栗栖 一恵
坂井瑠実クリニック医療技術部
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