要介護認定調査結果にみる慢性透析者の移動に関するADLの特徴
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概要
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目的:わが国において慢性透析者の高齢化と透析の長期化が顕著となりつつあり,介護保険制度の活用が望まれる.目的は,慢性透析者の在宅生活の継続に不可欠な移動に関するADLの経時的変化について,要介護認定調査結果のうち中間評価項目第2群「移動」,第3群「複雑動作」,第4群「特別介護」,第5群「身の回り」の得点を用いて明らかにし,在宅生活を継続するうえで必要な支援を検討することである.方法:調査対象は,新潟市の要介護認定者のうち,透析者すべてと非透析者,計1,000名の,2003年4月から2009年3月末のデータである.分析対象は,介護保険を4年以上利用する者のうち,過去14日間に受けた医療の項目「透析」の該当者を透析者,非該当者を非透析者とし,透析群と非透析群に分けた.非透析群は過去14日間に受けた医療の非該当者とした.直近の認定調査結果を4回目,1年遡るごとに3,2,1回目とし,年代別・男女別に中間評価項目の第2〜5群における各回の平均値を従属変数,要介護認定調査回数と透析の有無を独立変数とする二元配置分散分析を行った.結果:透析群は69歳以下24名,70歳代44名,80歳以上53名,非透析群は69歳以下15名,70歳代86名,80歳以上234名.認定調査回数と透析の有無の交互作用はなかった.透析の有無について中間評価項目得点の差の検定で透析群が有意に低値を示したのは,第2群69歳以下女性(p<0.05),透析群が有意に高値を示したのは,第4群80歳以上女性(p<0.01),第5群70歳代女性(p<0.05),第5群80歳以上男性(p<0.05)と女性(p<0.001)であった.考察:介護保険を4年以上利用する透析者において,移動の能力は69歳以下女性で有意に低下し,移動を伴わない身の回りの行為は80歳以上の男女で有意に維持された.通院支援と介護予防の必要性が示唆された.
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