ウシ黄体の機能に関する研究 : −特に形態との関連性について−
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概要
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本研究は,1)発情周期にともなう黄体の形態と機能の変化,2)嚢腫様黄体,3)黄体内機能調節因子のひとつであるオキシトシン(OT)の生理的意義について検討したもので,主な成果は以下の通りである.1)黄体組織中の黄体細胞の占める割合は黄体期の推移とともに減少し結合組織が増加することから,黄体はその機能の衰退とともに硬化することが明らかになった.また黄体細胞を組織学的特徴からI〜V型に分類し,その出現率を検討した結果,形成初期ではIならびにII型の細胞の出現率が他のステージと比べ有意に高く,形成初期から開花期にかけてII型の細胞の出現率が増加していくこと,IV,V型の細胞は開花期以降に増加することが明らかとなった.また,I,II,III型の細胞の出現率と黄体組織中のプロジェステロン(P4)濃度の間に高い正の相関が認められ,主としてI,II,III型の細胞が黄体のP4分泌を担っており,IV,V型の細胞は黄体退行過程で変性していく細胞であることが推察された.2)超音波断層診断装置を用いて黄体の中心に出現する内腔の消長を調べた結果,黄体期の推移とともに内腔は徐々に消失することが明らかになった.さらに,血漿中P4濃度,牛群の受胎率に内腔形成の有無による差は認められず,嚢腫様黄体は必ずしも不妊症の原因にならないことが明らかとなった.3)ウシ黄体のOTレセプターをラジオレセプターアッセイで検討した結果,OTレセプターは黄体期を通じて存在するが,その濃度は開花期黄体で最も高いことが明らかとなった.また,免疫組織化学的にOTレセプターは大型黄体細胞と小型黄体細胞の両方の細胞膜上に見いだされた.さらに,黄体細胞のOT レセプター濃度はプロスタグランジンF2αによって増加すること,OTが黄体組織からのP4分泌を促進することが示された.
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