性予知胚を用いた牛一卵性双生子の生産
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概要
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性予知された一卵性分割胚が一卵性双生子に発達する可能性を調べた.また,本方法による生産性を通常の2分割胚の生産性と比較した.人工授精後7日目に回収された牛胚(48個)を顕微鏡操作によって3分割し,この3分割胚の1つを性の予知に供した.胚の性はPCR法では9個中8個(89%)が,染色体検査では39個中15個(38%,P<0.05)が判定された.3分割胚の残り,すなわち48組の分割胚は性が判定されるまで培養され,全ての3分割胚が移植可能な胚盤胞に発達した.性判定できた23組およびできなかった25組の分割胚のうちの総計31組(62個)を41頭の受胚牛に1−2胚ずつ移植した.このうちの22頭(54%)が妊娠し,5組の双子を含む22頭の産子が得られた,3分割胚の受胎率および産子数と,2分割胚の成績すなわち51/89,57%および14組の双子を含む47頭の産子,の間に有意差(P>0.05)は認められなかった.判定された分割胚由来の産子の性はいずれも移植前に予知された性と完全に一致した.これらの結果から,ここで用いた方法は性判別された一卵性双子を生産する実用的な手段であると考えられる.
著者
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牛島 仁
千葉県畜産総合研究センター
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牛島 仁
千葉県嶺岡牛試験場
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坂根 淳太
明治大学農学部生殖工学研究室
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尾川 昭三
明治大学農学部生殖工学研究室
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加藤 孝
明治大学農学部
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江藤 哲雄
千葉県畜産センター
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