牛胚移植における凍結胚の融解から移植までの経過時間および受胚牛のトラック輸送と受胎成績

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凍結胚を融解してから移植までの経過時間および受胚牛の移植前後におけるトラックによる輸送が受胎率に及ぼす影響を検討した．試験1では，凍結融解後の品質がExcellentまたはGoodの後期桑実胚1個を融解開始後16〜17分に移植用ストローに吸引して受胚牛飼育現場へ輸送し，ホルスタイン種未経産牛96頭，黒毛和種経産牛105頭および交雑種経産牛35頭に移植して受胎率を調べた．その結果，胚を移植用ストローに吸引後11〜20分(G1群) ，21〜30分(G2群)，31〜40分(G3群)，41〜50分(G4群)，51〜60分(G5群)に移植した場合の受胎率は，ホルスタイン種未経産牛ではG1群〜G5群で50.0%(2/4頭)〜73.7%(14/19頭)，黒毛和種経産牛ではG2〜G5群で50.0%(3/6頭)〜62.5%(20/32頭)，交雑種経産牛ではG2〜G4群で43.8%(7/16頭)〜60.0%(6/10頭)であり，いずれの群間においても有意差はみられなかった．試験2では，ホルスタイン種未経産の受胚牛42頭を飼育農家から胚移植センターまで片道58〜62 kmをトラックで1.4〜1.6時間かけて輸送した．そして，凍結胚の融解と融解した胚のストローへの吸引が完了するまで約20分間枠場に繋留した後，試験1と同様に後期桑実胚を移植用ストローに吸引後10分以内(G6群)および11〜20分(G7群)に移植し，移植終了後30分以内にトラックで返送した場合の受胎率を検討した．その結果，G6，G7群の受胎率はそれぞれ69.7(23/33頭)，66.7%(6/9頭)であった．以上の結果から，融解した後期桑実胚を融解開始後16〜17分に移植用ストローに吸引し，ストロー吸引後60分以内に移植を行った場合には，融解後の時間経過に伴う受胎率の低下は認められないこと，および，胚移植のために受胚牛を片道1.5時間程度トラック輸送することは受胎率に影響を及ぼさないことが明らかになった．
日本繁殖生物学会の論文

牛胚移植における凍結胚の融解から移植までの経過時間および受胚牛のトラック輸送と受胎成績

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