イオン交換体・機能性高分子の物性研究とその分析化学への応用

概要

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イオン交換樹脂や架橋デキストランのような機能性高分子に吸着した化学種の吸収スペクトルや NMR スペクトルが，溶液法と同様の手法で観測可能である。固相吸収スペクトル測定技術の開発は，固相分光法と呼ばれる新たな超微量成分分析法に発展した。固体粒子を用いても Lambert-Beer 則が成立し，試料と濃縮固相の体積比が感度に比例する。したがって，その比を大きくとることが高感度化に有効であり，通常の溶液法と比べて 100 倍以上の高感度化を容易に達成できた。また，架橋デキストランが一連の金属オキソ酸と特異的に反応することを見出し，架橋デキストランゲルを一種のキレート樹脂として用いた金属オキソ酸の選択的濃縮分離法を開発した。特にホウ酸に関しては，固相であるにもかかわらず，ゲル相の 11B NMR 測定が可能であることを示し，ホウ酸の吸着特性のモデリングを行った。これらの知見をもとに，グルカミン樹脂とホウ酸との相互作用を定量的に解明した。さらに，自ら築いた指導原理に基づいて新規官能基を開発した。また，ホウ酸—ポリオール錯生成系の特徴を利用することで，ホウ酸の新規分析法を展開することができた。