ESA(erythropoiesis stimulating agent)投与下のヘモグロビン変動についての検討 : ―エリスロポエチン製剤とダルベポエチンαとの比較―
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概要
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維持血液透析症例124例を対象に,erythropoiesis stimulating agent(ESA)をエリスロポエチン製剤(rHuEPO)からダルベポエチンα(DA)に切り替え,切り替え前24週(EPO期)と切り替え後24週(DA1期)さらにその後24週(DA2期)でHb変動について検討した.Hb変動は1.Fishbaneらのヘモグロビン(Hb)サイクリング,2.YoungらのHb標準偏差(SD),残差標準偏差(RSD),3.Ebbenらの6群分類の3種類の方法を用いて評価した.rHuEPOからDAへの変更により,平均Hb値は上昇し,10 g/dL≦Hb≦12 g/dLの目標を達成している症例の割合は薬剤切り替え時55%が24週後には69%,48週後には60%と増加していた.Hb変動についてはexcursionのみられる症例の割合がEPO期で56%に対しDA1期では67%に増加していたが,DA2期では57%となっていた.SD,RSDについては,EPO期はそれぞれ0.581±0.227 g/dL,0.445±0.183 g/dLであった.DA1期にはSDは0.681±0.293 g/dL,RSDは0.517±0.202 g/dLといずれもEPO投与期にくらべて有意に大であったが,DA2期にはEPO投与期との有意差はみられなかった.6群分類ではEPO期にくらべDA1期で高変動群が2.4%から23.4%と有意に増え,DA2期では14.5%であった.EPO投与期にくらべ,DA導入期にはHb変動が大であったが,維持期にはその差は消失する傾向にあった.DAのより強力な造血作用により目標値に達していなかった症例でHbが上昇したことが,DA導入期にHb変動を大きくした原因と考えられ,継続投与ではHb変動に対するEPOとDAの作用はほぼ同等と考えられた.
著者
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稲荷場 ひろみ
大野記念病院内科
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井上 圭右
大野記念病院内科
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稲荷場 ひろみ
寿楽会大野記念病院内科
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崔 吉永
寿楽会大野記念病院内科
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井上 圭右
寿楽会大野記念病院内科
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久米田 靖郎
寿楽会大野記念病院内科
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岡崎 博一
寿楽会大野記念病院内科
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岡村 幹夫
寿楽会大野記念病院内科
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