マイクロアレイ法によるTichophyton tonsurans およびArthroderma benhamiae に対するケラチノサイトのサイトカイン応答
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概要
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皮膚糸状菌症(白癬)は,その原因菌により炎症反応が異なり,臨床症状も多彩である。ヒト好性菌は炎症が軽微であるが,動物好性菌では強い。特に今日流行しているヒト好性菌のTrichophyton tonsurans 感染症は,感染力が強いにもかかわらず症状は軽微のため感染が拡大していると考えられている。そこでT. tonsurans と動物好性菌のArthroderma benhamiae について,それらの刺激によるケラチノサイトのサイトカイン分泌をマイクロアレイ(microarray)法を用いて比較検討した。その結果T. tonsurans では,IL-8,IL-16,eotaxin-2など限られたサイトカインのみ発現亢進したが,A. benhamiae ではIL-1β,IL-6,IL-6sR,IL-8,IL-17,MCP-1,eotaxin,eotaxin-2,G-CSF,GM-CSFなど,炎症反応および創傷治癒にかかわるサイトカイン・mRNAの発現が認められ,細胞性免疫にかかわるIL-2,IL-4,IL-7,IL-13,IL-15,IL-16,IP-10も亢進した。これらの結果より,T. tonsurans 感染症とA. benhamiae 感染症の臨床症状の差には,白癬での防御機構に重要な役割を担う,ケラチノサイトのサイトカイン応答の違いも関与している可能性があると考えられた。今後,白癬の感染機序を解明するうえで重要な知見と思われる。
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