X線吸収微細構造分析法による塩化ジルコニウム水溶液中のジルコニウム(IV)の溶存構造の研究
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概要
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ジルコニウム塩化物水溶液は種々の工業的な用途に用いられる.この水溶液が材料として機能を最大限に発現するにはジルコニウムの溶存構造を制御することが重要であると考えられる.そこでジルコニウムの溶存構造を知るためにジルコニウム,水素イオン及び塩化物イオン濃度を変化させた多種の水溶液のZr−K端広域X線吸収微細構造解析を行った.ジルコニウム濃度によらず,[HCl]=0.03〜0.5 Mにおいて,Zr−Zr配位数が4〜2と大きく変化した.一方,過塩素酸を用いて水素イオン濃度を変えた場合はZr−Zr配位数はほとんど変化しなかった.また,低水素イオン濃度を維持し,塩化物イオン濃度のみを変化させた場合も,Zr−Zr配位数はほとんど変化しなかった.更に,モル比[Cl−]/[Zr]=0.7付近では,他の成分濃度を変えてもZr−Zr配位数の変化が小さく,ジルコニウム化学種の溶存構造は変わらないことが分かった.[Cl−]/[Zr]を変えた溶液を添加したポリビニルアルコールフィルムの温浴後の残存率は[Cl−]/[Zr]=約0.7で最大となり,この溶液の架橋性能の優位が確認された.これは,溶存化学種の高重合度及びその化学的安定性という特徴に起因すると考えられる.
著者
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小川 信明
秋田大学工学資源学部生命化学科
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高崎 史進
第一稀元素化学工業株式会社
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渡辺 巌
立命館大学SRセンター
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鈴木 敏久
第一稀元素化学工業株式会社
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中島 靖
第一稀元素化学工業株式会社
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脇田 崇弘
第一稀元素化学工業株式会社
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鈴木 理紗
第一稀元素化学工業株式会社
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