アフラトキシB1 誘発ラット肝癌細胞株より分離した cDNAによる腫瘍形成並びに肺転移の誘発
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概要
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先に,我々はアフラトキシンB1をフィッシャー344系雄ラットに投与して肝細胞癌を誘発し,肝癌細胞株AFB-1を分離した.本研究において,我々はAFB-1のmRNAとラット正常肝細胞株BL9のmRNAについてサブトラクションcDNAライブラリーを作製し,ノーザーン・ブロット解析によりAFB-1のmRNAとハイブリッドを形成するがBL9のmRNAとはハイブリッドを形成しない650 bp cDNAを検出した.我々は,650 bpcDNA/ベクター組換体DNAをAFB-1とBL9に導入し,次いで,元の細胞または組換体DNA導入した細胞1×107個を同系ラットの背部皮下に移植した.650 bp cDNA/ベクター組換体DNAの導入はAFB-1の皮下腫瘍形成率を増大させ(元のAFB-1を移植した雄ラットにおける形成率が13例中9例に対し,組換体DNA導入AFB-1を移植した雄ラットにおける形成率は14例中14例,P< 0.02),また,肺転移率も増大させた(元のAFB-1を移植した雄ラットにおける転移率は13例中0例に対し,組換体DNA導入AFB-1を移植した雄ラットにおける転移率は14例中9例,P< 0.001). 650 bp cDNA/ベクター組換体DNAの導入は正常肝細胞株BL9を癌細胞に転換した,即ち,組換体DNAを導入したBL9は雄ラット10例中9例,雌ラット10例全例に皮下腫瘍を形成し,また,雌ラット10例中6例に肺転移巣を形成した.本研究は,サブトラクションcDNAライブラリーから分離したcDNAが癌細胞の腫瘍形成並びに肺転移を促進すると共に,正常細胞に腫瘍形成能並びに肺転移能を誘発することを初めて示したものである.
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