透析導入後に初めて診断され,酵素補充療法が著効したFabry病の1例
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概要
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症例は29歳,男性.幼少時期より,両手末端部に痛みがあったが,原因不明とされ,放置されていた.高校生頃より尿蛋白を指摘されて,腎生検をすすめられたが,放置していた.2005年健診で腎機能障害を指摘されて当院を受診したが,すでに進行した腎障害(BUN 55.2 mg/dL・Cr 4.9 mg/dL)と両腎萎縮が認められたため,血圧のコントロールと食事療法で経過観察され,腎機能は徐々に悪化していた.2007年3月29日,意識障害を認めたため当院に救急搬送された.BUN 256.5 mg/dL,Cr 26.4 mg/dL,と末期腎不全状態であり,入院当日より血液透析に導入したところ,意識は回復.それとともに,四肢末端の著明な疼痛を訴えるようになった.この時点で初めてFabry病を疑い,αガラクトシダーゼA活性の著しい低下を確認.Fabry病であると診断した.疼痛に対して消炎鎮痛剤は無効で,carbamazepineの投与でも若干の改善にとどまったため,酵素補充療法(agalsidase beta 1 mg/kg,2週間ごと投与)を開始したところ,著明な改善を認め,QOLの改善が得られた.透析導入後の激しい痛みにより初めてFabry病と診断された一症例を経験し,この時期でも痛みに対して酵素補充療法が有効であった.Fabry病は,頻度は少ない疾患であるものの,予後を改善できる可能性があるため,痛みや尿蛋白をきたす原疾患として常に鑑別にいれ,より早い対応が必要であることが示唆された.
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