簡易脱灰技術の基礎検討 : ―石炭中の灰分分布状態の定量評価方法の提案―

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発電用燃料として利用されている豪州，米国，アジアの各種石炭中には，粒状，筋状，あるいは雲状の灰分（微細な粘土鉱物が可燃分中に高濃度で分散した状態）が分布する．著者らは，この筋状や雲状の小粒径の灰分が単体分離しにくい傾向を明らかにしている．これらの灰分分布状態を数値化し，単体分離特性との関係を定量的に評価することができれば，脱灰効率の向上に重要な情報を与える．これまで，石炭中の灰分分布状態の観察は，電子顕微鏡や偏光顕微鏡を用いて実施されてきた．しかしながら，これらによる観察は，熟練の測定技術や長時間の測定を要し，容易に情報を得ることが難しい．そこで本研究では，灰分の組成分析などの詳細評価は行えないものの，その扱いが非常に簡易である光学顕微鏡を用いて，灰分分布状態の定量評価手法の検討を実施するとともに，得られた評価法を用いて，単体分離特性におよぼす灰分粒径やその形状の影響について検討した．その結果，画像中に含まれる低濃度の成分の識別に課題を残すが，光学顕微鏡画像から得られる輝度分布曲線を用い，画像中から灰分のみを識別することがほぼ可能であることがわかった．また，石炭中灰分の評価指標として，灰分粒径に円相等径（Dp.a.），灰分形状には形状係数として絶対最大長（Lmax）に対する円相等径の比（Dp.a./Lmax）を提案し，これにより，粒状や筋状などの灰分の形状差を区別して評価し，各炭種の分布状態を特徴付けることが可能であることを明らかにした．本灰分分布状態の評価法を用い，粉砕粒径が大きくなるほど灰分粒径やその形状が単体分離特性に影響を与えることがわかった．
社団法人　化学工学会の論文

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