「化学プロセス・ダイナミックスの解明と応用」 反応性を有する二液体の偏心二円筒間流れにおける混合・反応過程
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概要
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外円筒容器と内円筒棒が偏心して設置された二円筒間にみたされたグリセリン中の反応性を有する二液体の混合および化学反応過程について実験的に検討を加えた.外円筒容器と内円筒棒の中心間距離を両者の半径の差で無次元化した偏心率を0.1–0.7に変化させた.外円筒容器と内円筒棒は,ストークス流れの条件を満たしながら交互に回転させる.反応物質として,硝酸鉄(III)(Fe(NO3)3)とフェロシアン化カリウム(K4[Fe(CN)6])を用いた.両者は,Fe3+ + K4[Fe(CN)6] → KFe[Fe(CN)6] + 3K+の化学反応を生じる.生成物フェロシアン化カリウム鉄(KFe[Fe(CN)6])は濃青色の沈殿物であることから,生成物の存在する位置を特定することができる.この反応は極めて速く進行することから,反応物質が分子スケールレベルで混合すると直ちに反応が起こる.反応熱は無視できるほど小さく,その結果この反応は流れに対してパッシブとして取り扱うことができる.外円筒容器と内円筒棒を交互に回転させると,化学反応はカオス領域において顕著に促進され,化学反応が生じる領域は反応物質の初期位置に関わらずカオス領域全体に広がってゆく.また,化学反応の促進の程度は反応物質の初期位置により異なり,その程度は反応物質の初期位置におけるエレメント伸長率の値に対応している.すなわち,エレメント伸長率の値がより大きい領域に反応物質を置いた場合のほうが化学反応はより促進される.
著者
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植田 利久
慶應義塾大学
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渡辺 佳孝
慶應義塾大学理工学部 機械工学科
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渡辺 淳
慶應義塾大学理工学部 機械工学科
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植田 利久
慶應義塾大学理工学部機械工学科
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渡辺 佳孝
慶應義塾大学理工学部機械工学科
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