在宅緩和ケア-自験553例の検討から-
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概要
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目的.在宅緩和ケアの考え方の理解を深め,肺癌を含めたがん終末期の療養形態の選択枝として優れていることを明らかにする.研究方法.在宅緩和ケアを行った自験例553例(肺癌152例,非肺癌401例)について,ケアの質に関わる要因として,以下の解析を行った.1)在宅死率,2)ADLに関わるものとして歩行機能の維持,3)言語によるコミュニケーション,4)苦痛症状緩和の評価として,麻薬の最大使用量および臨死期の麻薬使用量の変化.結果.在宅死率は全体としては96.1%(肺癌例:96.3%,非肺癌例:96.1%)であった.訪問開始時に自立歩行をしていた患者の死亡2日前および前日の歩行機能を見ると,全体では46.4%,32.6%(肺癌例:45.2%,35.5%,非肺癌例:46.9%,31.5%)が介助下とはいえトイレに行っていた.コミュニケーションについては,訪問開始時に話をしていた患者のそれぞれ87.3%,75.7%(肺癌例:86.0%,76.9%,非肺癌例:87.8%,75.2%)が,死亡2日前および前日に言語によるコミュニケーションが可能であった.疼痛,呼吸困難などの苦痛症状の緩和では,麻薬未使用例が165例,34.9%あり,麻薬使用例のほとんどがモルヒネ内服換算200 mg以下で症状緩和され,ほとんどの症例で臨死期に投与量の増量はなかった.結論.がん終末期の患者が最期まで自宅で療養することが可能であり,自宅での療養の質が高いことを実証した.したがって在宅緩和ケアは,肺癌をはじめとするがんの終末期の療養形態として積極的に選択すべきである.
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