Transitions Approachによる教育達成過程の趨勢分析 :
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿ではRobert D. Mareが提案し、教育達成過程の実証分析で国際的に事実上のスタンダードとなってきた、通称Mareモデルとその応用モデルによる分析(Transitions Approach)を通して、わが国の教育達成過程における不平等とその変動を実証的に明らかにするとともに、不平等生成に関する理論の目指すべき方向性について検討した。分析の結果、先行研究において繰り返し確認された階層効果逓減現象が、わが国の場合は戦前の一定期間にのみ認められること、中等教育機会の平等化と高等教育機会の不平等化の同時進行は、戦後の高学歴化期ではなく戦前における中等教育のマス化に関わって生じたこと、中等教育であれ高等教育であれ格差の拡大は上位層による希少財の先取りと関わって生じた可能性のあること、MMI仮説の主張する上位層の飽和による平等化がわが国の場合には必ずしも認められるわけではないこと等が明らかとなった。
著者
関連論文
- 教育の階級差生成メカニズムに関する研究の検討 ―相対的リスク回避仮説に注目して―
- Transitions Approachによる教育達成過程の趨勢分析 :
- 現代高校生の進路と生活 : 15年間の持続と変容
- 普通科高校における学校設定科目の分析--大学入試の影響力
- 高等学校のカリキュラムにおける構造的特徴の編成傾向とその地域的多様性
- 2年後の学生が高校で学んでくること--文理・進学率別にみた高校新課程の実施状況
- 新学習指導要領に普通科高校はどう対応したか--「教育の基調の転換」と教育課程の編成方針
- 普通科高校における新教育課程編成方針の分析--「教育の基調の転換」と学校の社会的位置づけ
- 大学入学者の高校での科目履修と受験行動--普通科に関する実証的研究
- 現代高校生の学習意欲と進路希望の形成 : 出身階層と価値志向の効果に注目して
- 教育発達における階層差発生過程のモデル化
- 教育達成における階層差発生過程のモデル化
- 教育熱心の過剰と学校不信 (学校教育に対する保護者の意識調査2008 報告書)
- 大衆教育社会の不平等 ―多項トランジッション・モデルによる検討―
- 学習意欲と進路希望における家庭背景の影響 (特集 高校で求められる「学力」とは)
- 大衆教育社会の不平等再考 : 多項トランジッション・モデルによる検討(IV-5部会 社会構造と教育(2),研究発表IV,一般研究報告)
- 片瀬 一男[著], 『夢の行方-高校生の教育・職業アスピレーションの変容-』, A5判, 324頁, 本体2,000円, 東北大学出版会, 2005年10月刊
- 2.多項トランジッション・モデルによる教育達成過程の分析 : 脱トラッキング的な階層効果への着目(I-5部会 社会構造と教育,研究発表I,日本教育社会学会第58回大会)
- LRMSCによる教育達成過程の趨勢分析 : 「階層効果逓減現象」の検討(教育達成と教育費)
- 現代都市高校におけるカリキュラム・トラッキング
- 大学志願者の学習意欲と受験行動に対するカリキュラム編成タイプの効果
- 高校生の学習意欲・進路選択と価値志向 : カリキュラム編成タイプの効果に注目して(進路と教育(1))
- 海外トピックス カリフォルニア大学の入学者選抜について--学部1年次からの入学に注目して
- 1. 教育達成における親族学歴の効果 : 祖父母・オジオバ学歴に着目して(I-9部会 【一般部会】家族と教育,研究発表I,一般研究報告)
- 高校生の教育期待形成における文化資本と親の期待の効果 : 「文化資本」概念解体の提案 (稲葉継雄教授 土戸敏彦教授 退職記念)
- 教育達成に対する「家族」効果の再検討 : 祖父母・オジオバと家族制度に着目して (特集 祖父母)
- 孫の教育達成に対する祖父母学歴の効果:—父方母方の別と孫の性別・出生順位に着目して—
- 3. 高校生の進路希望と生活・社会意識の変容 : 30年の軌跡(II-2部会 【一般部会】青少年,研究発表II)