舶用重油の燃焼実験
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概要
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舶用ディーゼル機関用重油(以下,舶用重油)の燃焼上の特性(本稿では,着火遅れおよび燃焼期間)は多くの因子,つまり密度,残留炭素分,アスファルテン分,芳香族成分の濃度や炭素/水素質量比(C/H比)等により影響されると思われる。 舶用ディーゼル機関の運行上の問題が発生しその原因を調査する場合には,使用中の燃料油も調査される一要素である。その際,どのような性状を検討すれば調査項目として効果的であるかを,燃焼実験結果および性状の分析結果を対比して検討した。問題中の舶用重油と問題のなかった重油の双方を同じ分析・燃焼実験項目にて検討,評価した。さらには,着火遅れや燃焼期間の良し悪しに関して,燃料油の性状で分岐点(しきい値)があり得るかを検討した。 著者らは,これらの検討項目をディーゼルエンジンと同じ噴射メカニズムを持った定容積の燃焼実験装置(FIA 100と称される)を用いて燃焼実験を行い,次の考察結果に達した。 (1)舶用重油中のパラフィン鎖炭素含有率および炭素/水素質量比がそれぞれ燃焼上の特性と良い相関をもっている。 (2)密度は燃焼上の特性に関して,粘度とそれらとの関係以上に相関が大である。 (3)残留炭素分,アスファルテン分は着火遅れとの相関は小であるが,燃焼期間とはある程度の相関を有している。 (4)硫黄分と燃焼上の特性間の相関は小である。 (5)着火遅れと燃焼期間に関しては,炭素/水素質量比8.3以上を低質舶用重油といえる仮分岐点として設定しうる。
著者
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