接触水素化反応による炭酸ガスからのジメチルエーテル合成技術(第3報)複合触媒を用いたリサイクルプロセスによる直接合成
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概要
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CO2とH2を原料として,メタノール合成触媒とメタノール脱水によるジメチルエーテル(DME)合成触媒を組み合わせた複合触媒を用いてDMEを直接合成する実験を行った。 粒子状複合触媒(MD-12)とペレット状複合触媒(MD-13)では,形状の違いによるDME合成活性面での大きな差は認められなかった。 MD-13について563 Kでの2000時間の耐久性実験を実施した結果,メタノール合成触媒の活性は低下したが,メタノール脱水触媒の活性は低下しなかった。 ベンチプラントを用いて,ワンパス実験とリサイクル実験を行い,反応条件の影響を調べた。反応温度の影響に関しては523〜563 Kの範囲では,メタノール合成反応は平衡の制約から温度の上昇とともに低下し,逆にメタノール脱水反応は温度の上昇とともに促進された結果,メタノール+DME収率は若干低下したものの,DME選択率は大きく向上した。 反応圧力の影響に関しては,メタノール合成反応は圧力の上昇とともに促進されたが,メタノール脱水反応はあまり圧力の影響を受けず,メタノール+DME収率は向上したが,DME選択率は低下した。このことは反応速度のシミュレーション結果と一致した。 リサイクル比の影響に関しては,リサイクル比の増大とともにメタノール合成反応とメタノール脱水反応の両方が促進され,CO2転化率が上昇した。DME選択率は,メタノール合成とDME合成の反応速度比も変わらないためほぼ一定であった。 以上から,CO2転化率,メタノール+DME収率およびDME選択率を上げるためには,反応温度とリサイクル比を高く,反応圧力は低く設定することが効果的であると考えられる。
- 公益社団法人石油学会の論文
著者
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安武 聡信
三菱重工業株式会社技術本部広島研究所化学プラント研究室
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黒田 健之助
三菱重工業(株)プラント事業センター
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平野 正樹
関西電力(株)電力技術研究所 環境技術研究センター
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黒田 健之助
三菱重工業
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安武 聡信
三菱重工業(株)広島研究所
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黒田 健之助
三菱重工業(株)プラント・交通システム事業センター
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