黒猩々繩のX染色體逆位の交叉に及ぼす影響
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概要
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1. 黒猩々繩のX染色體にある二つの獨立逆位 In(X)Sp と In(X)Sd とは共にヘテロの状で在る時は, 第三染色體の末端部及び基端部, 並に第五染色體の末端部の交叉を増加する。2. 同じ兩逆位は同じX染色體の末端部の交叉をも増加する。3. 此二つのうち, 端部逆位だけが單獨にヘテロの状で在る時でも, 第三染色體の末端部の交叉を増す。然しX染色體の末端部の交叉は増さない。4. 基部逆位だけが單獨にヘテロの状で在る時は, 第三染色體の末端部にも, 又X染色體の末端部にも, 見るべき影響が無い。5. 要するに, ヘテロの逆位が他の染色體, 若しくは同一染色體の他の部分の交叉を増加する程度は, それら逆位が自分の附近の交叉を妨げる程度に比例するものと思はれる。6. ヘテロの逆位が他の部分の交叉に與へる影響は温度やX線に依る刺戟の交叉に與へる影響と同性質のもので, 或部分で減少すれば他の部分で増加すると云ふ關係になつてをる樣である。そしてこれは同じ核内の別の染色體間, 又は同一染色體の別の部分間に, 交叉に關して♦競爭 又は 補償 的關係が在るためで, 結局一つの核の中で退られるキアスマに一定の限度が在る事に基づくと思はれる。
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