鷄に於ける卵巣除去に依る實驗的間性の研究 : II. 横斑プリマスロック及び横斑プリマスロック褐色レグホーン交雜種に於ける卵巣除去の實驗
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 材料には横斑プリマスロツク, 横斑プリマスロツク及び褐色レグホーンの第1代雜種 (一方の交雜と其の反對交雜) を用ひ前實驗に於けるが如く幼雛期 (10-25日齡) に於て卵巣を除去した。2. 卵巣除去に依つて生ずる間性鷄は代償的肥大を成せる右側生殖腺の組織學的構造に依り強雌 (FF), 弱雌 (Ff), 強雌性間性 (IF), 弱雌性間性 (If), 中間性 (II), 弱雄性間性 (Im), 強雄性間性 (IM), 弱雄 (Mm), 強雄 (MM) の9群に分類した。3. 横斑プリマスロツクはもとの親4羽より生じた雛に就て實驗を行つたが卵巣除去の結果405號の仔は雌性を現し401號より生じた雌は雄性に傾き他の2羽の親からは中間性個體を生じた。4. 横斑プリマスロツクと褐色レグホーン交雜種に於て褐色レグホーンを雌親にとつた交雜種に於て1羽の弱雌個體を除き他は全部中間性より弱雄に至るまで種々の程度の雄性個體を生じた。即ち間性の程度は強度に雄性に偏することを示す。5. 横斑プリマスロツクと褐色レグホーンとの交雜種に於て横斑種を雌親にとる時 (反對交雜種) は雌及び雌性間性個體を多數に生じ雄性間性は多少生じたが甚だ弱度のものであつて間性の程度は前者 (褐色種を雌親にとつた) と全く反對に雌性に偏することを示す。6. 異なる鷄種間の交雜種に於て交雜の方法に依り一方に於て右側生殖腺が睾丸性又は睾丸に發達して雄性に傾き他方に於て卵巣性又は卵巣に發達して雌性に偏するのは生殖腺原基の髓質又は皮質の發達のみに依つては説明が困難である。性決定遺傳子即ち雄性決定遺傳子 M と雌性決定遺傳子 F が關與することが推測される。7. 實驗的事實から雄性決定遺傳子 M と X 染色體に存在すると考へられるが雌性決定遺傳子F に關しては著者は常染色體に存在すると言ふ考に傾いてゐる。