種々の酵素型からみたクワコとカイコの類縁関係について
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概要
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日本各地から採集したクワコ (Theophila mandarina L.) を用いて, その血液, 皮膚, 中腸および絹糸腺などのエステラーゼ並びにホスハターゼ活性を電気泳動的に解析し, それらの地域差について比較検討した. その結果血液酸性ホスハターゼ型に関しては関東型と関西型 (名古屋以西) に分けて考えることもできるが, 他の酵素についてはその地域的差異が認められなかった.一方クワコとカイコとの間におけるこれら酵素型の相違をみると, それらを支配する遺伝子の出現頻度は明らかに相違するが, 遺伝子の種類については両者に連続性があることが認められた. またある種のカイコの皮膚, 絹糸腺および中腸などに存在する1, 2の酵素がクワコのそれの約2倍の活性を有することが電気泳動と定量の結果から明らかにされた. このような2倍の活性を有する遺伝子の生ずる機構は多分不均等交叉による遺伝子の重複に起因しているものと考えられる. クワコからカイコの進化は単なる突然変異の集積によると考えるよりも, 遺伝子の重複により多く原因しているものと考察した.
著者
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