サイレージより分離した嫌気性芽胞菌の代謝に及ぼす温度の影響
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概要
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とうもろこしサイレージより分離したCl. scatologenes,Cl. tyrobutyricumおよびCl. subterminaleと推定される3菌株と既知のCl. butyricumをサイレージエキス培地(pH5.8,乾物含量20%ただしCl. subterminaleの場合10%)に無菌的に単独接種し,20℃,30℃および40℃で嫌気的に培養して,Clostridiaの代謝に及ぼす温度の影響を比較的検討した。Cl. scatologenes,Cl. tyrobutyricumを接種した場合のPhは,培養開始後いずれの培養温度でも,2週目迄に急激に増加しそれ以後はほとんど変化しなかった。これに対し,Cl. butyricum,Cl, subterminaleを接種した場合のpHはどの培養温度でも評価しうる変動を示さなかった。Cl. subterminaleを接種した場合を除き,乳酸とWSCの減少またVBN/Total-N,VFA総量および酪酸の増加は,培養温度が30℃と40℃の時では同じ傾向を示して培養開始後直ちに起こり,20℃の時これらの変化は遅れることを示した。Cl. subterminaleを接種した場合,他の菌の場合と同様,いずれの培養温度でも乳酸とWSCは減少しVBN/Total-N VFA総量および酪酸は増加したが,これらは培養温度の違いによって一定の傾向を示さなかった。Flieg氏法によるサイレージの品質の評価は,Cl. subterminaleを接種した場合にはどの培養温度であっても2週目までに下にならず,Cl. butyricum,Cl. scatologenes,Cl. tyrobutyricumをそれぞれ接種した場合は30℃,40℃の時1週目に下となり20℃の時は2週目以降に下となることが示された。以上の結果から,サイレージの劣質化とClostridiumの代謝は,20℃のような低温でサイレージを発酵させることによって,遅延・抑制することが可能であると考えられる。
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