ネパールの農牧民と素朴な乳加工の概要
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概要
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南アジア北部地域における乳利用と各民族文化との繋がりを知る目的から,本調査では乳利用の実態を素朴なバター製造の様式の中に求めつつ,ネパールにおける乳利用分化の起源を探った。実施および文献による調査結果に基づいて導き出した記述に若干の誤謬は避け難たいが,結果は次の如く要約される。ネパールは厳しい自然環境の中の農牧業を主軸にした王国である。しかし,その農牧は南部亜熱帯的タライ地方の湿潤農業から,北部のネパール・ヒマラヤの南に張り出したチベット的風土の荒涼たる高原乾燥農牧業に至るまで種々の特質を持っている。それらを総括した耕地,牧畜,生活の概要は表1,2,3,4に示したが,必ずしも合理的で豊かであるとは言えない。また,そのネパールの農村に様式を異にする三種類のバターチャーン,即ちドンモ,キャルワ,テキが存在することを確かめた。これらのバターチャーンは今日におけるネパールの国民性の確立に多大な影響を及ぼしたチベット文化,イスラム文化それにインド分化の三大分化をそれぞれ具象したものとして理解される。特に,イスラム文化がネパール国内に深く,強く侵入していることが,本調査を通じてその現実を垣間見ることが出来た。今後,ネパールにおける各文化圏について更に詳細に調査する予定である。
- 信州大学農学部の論文
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