薄荷属種間雑種精油成分に関する研究(第6報)
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概要
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日本にひろく野生している,オランダハッカMentha spicata var. crispa BENTH. は帰化植物として知られている。このものの染色体数2n=48[4]と2n=54[56]の2系統を交雑親に用いたが,精油主成分はともに(-)-carvoneであった。この交雑によって得られたF1[56]×[4]の系統は,両親の精油主成分とはことなり,(+)-piperitenone oxideが精油主成分であった。米国産の縮葉型薄荷(2n=48)のF1,F2の精油成分の研究を行って,Murrayが提出した,遺伝生化学的な考察は,日本のオランダハッカの場合にも可能であると考えられた。さらに,逆交雑種,F1[4]×[56]の精油主成分が,(-)-trans-carveolであることを明らかにした。この系は,米国の実験には見いだされておらず,chemotaxonomyの面から新しい系であると考えられる。なお本系は(-)-carvoneの還元により,従来知られているdihydro carvoneを,ほとんど生成することなく,立体特異的に(-)-trans-carveolを高率(85%)に生成するものと考えられ,精油成分生合成研究上,注目すべき例であることを明らかにした。
- 信州大学農学部の論文
信州大学農学部 | 論文
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