各種エリスロポエチン誘導体による血管新生作用の比較とその機序の解析
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概要
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【目的】 エリスロポエチン (EPO) のホモ受容体 (EPOR/EPOR) は主に赤血球系細胞に発現し造血に重要な役割を果たしている. 一方, 造血以外の脳・肝・腎ではEPOのヘテロ受容体 (EPOR/CD131) が発現し, EPO反応性に組織保護作用を示すことが報告された. EPOの誘導体として糖鎖にシアル酸を欠く自然物であるアシアロEPO (AEPO) とリシン残基側鎖をカルバミル化した人工物であるカルバミルEPO (CEPO)が存在する. EPOおよびAEPOはホモおよびへテロ受容体に親和性を持つが, AEPOは肝のアシアロ糖タンパク受容体で速やかに代謝されるためin vivo での造血能を欠く. CEPOはホモ受容体との親和性がないため造血能を欠く. In vitro においてrhEPOに弱い血管新生作用を認め, 虚血に弱いICRマウスを用いた下肢虚血モデルではrhEPOよりrhAEPOの方がはるかに強い下肢生存効果を示したこと, またモノクロタリン投与によるラットの肺血管内皮障害モデルではrhEPOのみがeNOS・BCL-XL誘導作用を介して内皮障害抑制作用を示したことから, 血管内皮は赤血球系細胞と同様にEPOホモ受容体を発現していることがわかった. そこでAEPOがもつ強い血管新生作用の機序を明らかにする目的で, マウスの下肢虚血モデルに対する3種のEPO誘導体の作用を調べた. 【方法と結果】 雄8週齢のC57/BLマウスの左大腿動脈起始部を結紮して下肢虚血モデルを作成した. 虚血作成当日から7日間連日, 虚血筋肉内に2μg/kgの各種EPO誘導体を投与し, 虚血作成の7日後にレーザー ドップラー法による血流の改善効果, 筋肉組織標本での新生血管数の計測, 血中ヘモグロビン濃度および筋肉内でのmRNA発現の定量を行った. 造血はrhEPO投与のみで観察された. 血流回復および血管新生の効果はrhAEPO > rhEPO = rhCEPO > controlであった. 各種の血管関連遺伝子mRNAのうち, 治療効果と一致したのはIL-6のmRNA発現量のみであり, eNOSの発現はAEPOおよびCEPO投与により抑制された. 【結論】 EPO誘導体の血管新生作用は血管内皮に対する直接作用ではなく, 線維芽細胞に対するIL-6等の産生促進作用を介した間接効果であることが推測された.
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