松島湾におけるカキの大量斃死に関する研究(4)
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概要
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1. 大量斃死もなく,体生長及び身入ともに優れ,カキ養殖に好適な女川湾で養殖した健全な二年マガキCrassostrea gigas(万石浦で採苗)を材料として,性成熟及び産卵に伴う生理的活性の変化を生理学的に研究するとともに,これらのカキを近年大量斃死が連続して起こっている松島湾に移植し,同様の研究を行なった。さらに,これらの天然状態で得られた結果については,水温を人為的に制御した汚染の少ない流水中で実験的証明を試みた。2. 女川湾のような好適環境下でも,性成熟が進むにつれてカキの生理的活性は低下し,その最低は産卵期に認められた。この変化は全軟体部のグリコーゲン含量と平行的に推移し,両者の密接な関連がうかがわれた。3. 松島湾に移植したカキでは,体生長及び性成熟が急速で,性成熟及び産卵に伴う生理的活性の低下はグリコーゲン含量の減少同様,女川湾ガキよりはるかに大きかった。4. これらの生理的活性の変化を実験的にも証明し,カキに固有な生理的現象であることを確認した。
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