サイレージ用トウモロコシの根釧・道北地域向き耐倒伏性品種「たちぴりか」の育成
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概要
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サイレージ用トウモロコシの新品種「たちぴりか」は,耐倒伏性とすす紋病抵抗性に優れ,雌穂重割合の高い栽培限界地帯向きの安定・多収品種の育成を目標に,フリント種自殖系統「Ho87」を種子親とし,同じく「Ho90」を花粉親として育成され,北海道立総研機構根釧農試における現地試験で選抜された単交雑一代雑種である。2009年に北海道の奨励品種に採用され,2010年に「トウモロコシ農林交67号」として農林認定品種登録された。熟期は"早生の早"に属し,根釧および道北地域を栽培適地とする。絹糸抽出期は「エマ」並で「ぱぴりか」より1日遅く,収穫時の乾物率は「エマ」より高く,ほぼ「ぱぴりか」並である。発芽期は「エマ」より2日早く「ぱぴりか」より1日遅い。初期生育は「エマ」より優れているが「ぱぴりか」よりやや劣る。稈長は「エマ」および「ぱぴりか」より低く,着雌穂高は「エマ」より低く「ぱぴりか」並である。乾物総重は「エマ」および「ぱぴりか」並で,乾雌穂重割合は「エマ」より6ポイント高く「ぱぴりか」並である。耐倒伏性は「エマ」および「ぱぴりか」より強い。すす紋病抵抗性は"極強",ごま葉枯病抵抗性は"強"で,いずれも「エマ」および「ぱぴりか」より強い。黒穂病抵抗性は「エマ」および「ぱぴりか」並である。耐冷性は「エマ」より強く「ぱぴりか」よりやや弱い。密植による増収効果に関しては「エマ」および「ぱぴりか」と同様であるが,密植時の倒伏の発生が少なく,密植適性は高い。露地での通常畦幅栽培における適正栽植密度はアール当たり850~920本程度である。
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