水稲非作付期における土壌管理法の改善による流出負荷低減効果
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概要
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水稲非作付期の水田の土壌管理方法として,水稲収穫後の稲わら鋤込みの耕起時期を遅らせること,暗渠管を閉鎖すること,排水口へ止水板の設置をすることを組み合わせ,冬期間土壌を湿潤状態に管理する「冬期湿潤管理」(以下この組合せ技術を冬期湿潤管理と表す)を現地ほ場に導入し,その面的な取り組みによる栄養塩類・濁水の流出負荷低減効果を定量的に評価した。1)精密調査ほ場の水収支は,冬期湿潤管理を行う実証区では止水板の設置や暗渠管の閉鎖によって,地表排水と暗渠排水は認められず,その一方で浸透水と蒸発散量は慣行栽培の対照区より多くなった。水田群においては冬期湿潤管理によって排水路への流出水量は対照区より少なくなった。2)精密調査ほ場の実証区における全窒素(T-N)と硝酸態窒素(NO3-N)の流出負荷量は,冬期湿潤管理に伴う硝酸化成の抑制によって,対照区に比べT-Nで23~35%,NO3-Nで28~45%低減し,全りん(T-P)の流出負荷量は地表排水や暗渠排水に伴う懸濁物質(SS:濁水等)の流出防止によって対照区に比べ9~36%低減した。また,差引排出負荷量(流出負荷量-流入負荷量)は両区ともプラスの汚濁型を示すが,冬期湿潤管理を行う実証区では対照区より少なくなった。3)水田群においても精密調査ほ場と同様に冬期湿潤管理により,安定した流出負荷低減効果が得られ(低減率:T-N27~34%,NO3-N42~46%,T-P36~44%,SS19~28%),差引排出負荷量も低減した。4)水稲作付期の地力窒素の発現量は冬期湿潤管理の導入の有無にかかわらず同水準で,水稲の精玄米収量および品質についても同水準となった。また,冬期湿潤管理による地耐力の低下は認められなかった。
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