タイ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2007年末から2008年初頭にかけてコメの国際価格が急騰し始めたとき,多くのコメ輸出国は輸出を制限する措置をとり,それがさらなる価格高騰を招いたとされる。これらの輸出国は,国際価格が国内価格に反映し国内のコメ供給が不安定化することを恐れたのであった。ところが最大のコメ輸出国タイは,まったく輸出制限を行わなかった。本稿はこのようなタイ政府がとった対応の理由を検討した。直接の要因として指摘できるのは,(1)タイの輸出余力が十分に大きく,国内向けのコメ不足が懸念される事態にはならなかったこと,(2)国内の消費者が価格上昇でもパニックにならなかったことである。こうした要因は,経済成長によって消費者がある程度豊かになったこと,および生産者向けの価格支持政策が,稲作農家の経営様式を変え,生産を刺激したことの帰結である。価格支持政策には膨大な財政支出が必要であるが,政府の補助金によりコメの価格が左右されるようになると,農民は自らの政治的影響力を自覚するようになったから,政府は農業への補助金政策をやめるわけにはいかない。現在のタイは,中進国としての経済,政治構造を抱えた中で,グローバルなコメ市場での競争にさらされている。
- 日本国際地域開発学会の論文
日本国際地域開発学会 | 論文
- 開花前年の秋冬期の夜温がバーデンドラム(ラン科)の生育・開花に及ぼす影響
- カタクリ培養苗の順化と鉢上げ後の生育に及ぼす環境要因の影響
- クサソテツ(コゴミ)の胞子による増殖法ならびに苗の育成
- パインアップル栽培の赤土土壌流出対策に関する分析--沖縄県国頭郡東村を事例として
- 貿易自由化後における生鮮オレンジの産地別品質需要分析 : Armington モデルによる接近