阿保花崗岩起源のマサにおける膨張
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概要
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マサの切土法面で2つの断層に挟まれた区間が斜め上に向かって膨張した。膨張した区間は黒雲母を多く含む黒マサで、2つの断層の外側は石英・長石を主体とする白マサであった。2つの断層に挟まれた部分の相対的な膨張の方向は51°斜め上方で、変位量は最大約26mmであった。FEM解析により弾塑性変形解析した結果も実際の相対変位量とほぼ一致した。2種類のマサについてX線回析を行った結果、黒マサはカオリナイトと雲母類に対応するピーク強度が大きかったのに対し、白マサは石英とカリ長石・斜長石に対応するピーク強度が大きかった。このことから、黒マサのカオリナイトおよび雲母類が鉱物同士の結合を弱めていたことにより、応力開放に伴い大きく膨張した可能性があると推測した。また、白マサに多く含有されていた石英は安定した鉱物であり、石英粒子間の結合も大きいため、膨張量も少なかったと推測した。
- 土壌物理学会の論文