孤立性肺転移を来した胃癌の1症例
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概要
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胃癌術後の肺転移は癌性リンパ管症や癌性胸膜炎の形式をとることが多く、孤立性は稀である。今回、胃癌術後2年で孤立性肺転移を来した1例を経験した。症例は73歳男性。胃角部後壁の2型腫瘍に対し、幽門側胃切除およびD2郭清、B-I再建術を施行した。腫瘍はwell〜moderately differentiated tubularおよびpapillotubular adenocarcinomaであり、T2 (SS)、N0、stage IB (当時) であった。術後は外来での経過観察を継続していたが、2年後の胸部CTで右肺S5に10mm大の結節影を指摘された。2か月後のCTで増大傾向にあることから悪性が疑われ生検を施行した。腺癌の診断であったが、原発性と胃癌転移の鑑別は困難であり、診断的治療目的に胸腔鏡下右肺中葉部分切除術を施行し、胃癌の孤立性肺転移と診断された。肺部分切除後は経口抗癌剤による治療を行っていたが、2年後両側肺に新たな転移が認められ、再度肺部分切除術を施行した。以後、再発は認めていない。胃癌術後の孤立性肺転移に対する手術適応は慎重に判断する必要があるが、長期生存例の報告もあり、肺切除術は選択肢の一つとして考慮すべきと考えられる。
- 市立札幌病院の論文
- 2012-10-31
市立札幌病院 | 論文
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