Epstein-Barr virus陰性の腎移植後リンパ球増殖性疾患の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
移植後リンパ球増殖性疾患(PTLD)は、多くの症例でEpstein-Barr virus(EBV)の初感染あるいは再活性化が関与していることが知られている。しかし、今回EBVの関与が証明されなかったPTLDを経験したため、ここに報告する。症例は64歳の男性で、7年間の血液透析を経て、妻をドナーとした生体腎移植が施行された。免疫抑制薬はシクロスポリン/ミコフェノール酸モフェチル(MMF)/プレドニゾロンの3剤で導入され、以後の経過は良好であった。移植46ヶ月後に右下腹部痛が出現し、造影CTを施行したところ、移植腎上極に長径15cmの腫瘍を認めた。経皮的針生検を施行し、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断された。EBER(EBV-encoded RNA)染色は陰性、EBV-DNAも陰性であり、EBVの関与は証明されなかった。MMFを中止し、R-CHOP(リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、メチルプレドニゾロンによる抗がん剤治療)を6コース施行して完全寛解となった。以後、移植腎機能を喪失することなく、安定して推移している。
- 市立札幌病院の論文
市立札幌病院 | 論文
- Exercise-induced Renal Failureの2症例
- 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1剖検例
- 末期に脊髄横断麻痺症状を呈した慢性骨髄性白血病の1剖検例
- 原発性マクログロブリン血症の1例
- SLEに粟粒結核を併発した一症例におけるTransfer factor治療の経験