腹部大動脈瘤に解離の及んだA型急性大動脈解離に対し、entry閉鎖にて急性期大動脈瘤破裂を防ぎ得た一例
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概要
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症例は65歳女性、突然の背部痛と意識障害のため当院救命センターへ搬入された。CTにてA型急性大動脈解離と最大径45mmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認め、上行大動脈に認めたentryから連続した解離は腹部大動脈瘤内にまで及んでいた。緊急で上行大動脈置換術を施行しentry閉鎖を行ったところ、術後まもなく偽腔血流は消失し偽腔の著明な狭小化を認めた。術後120日目には偽腔はほぼ完全に血栓閉塞し、腹部大動脈瘤径は術前と同様で拡大を認めなかった。急性期大動脈瘤破裂の危険性が高い症例であったが、緊急手術にてentry閉鎖を行うことで偽腔の圧を下げ瘤破裂を防ぐことができたので報告した。大動脈瘤内に解離が及んだ場合、急性期動脈瘤破裂を防ぐためには大動脈解離に対する積極的な外科治療が必要であると思われた。
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