<展望>アジアの伝統酒研究の展開-日本における研究を中心に-
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概要
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本稿では,アジアのカビ酒圏を中心とした伝統酒の酒造と飲酒の研究をレビューした。その結果,酒造に関しては,酒類別に異なる研究傾向が見られ,さらにどぶろく系と蒸留酒系では地域による違いも論じられている。また,飲酒と文化の関係性に関しては,飲酒の目的を儀礼,もてなし,生活に分類して研究を整理したところ,地域共通の飲酒規範が存在することが明らかになったが,その規範は近代化によって大きく変化しつつある。既存研究のレビューを通して,本稿ではアジアの伝統酒をとらえるための三つの研究視点を提示した。1 点目は,研究アプローチ方法が確立されていない飲酒の地域差を解明する必要性,2 点目は,飲酒の地域性が失われつつある中で,文化的側面から地域固有の伝統酒の存在意義を再考する研究の必要性,そして3 点目は,伝統酒の地域性を解明するための地理学的な総合的視点からの多面的研究アプローチを採用する必要性である。
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