他者への嫌悪傾向と自己の嫌悪的言動傾向との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、どのような言動の他者を嫌悪しやすいか(他者への嫌悪傾向) と、自分が他者から嫌われるような言動をどの程度行っているか(自己の嫌悪的言動傾向) との関連について、金山(2002) で抽出された嫌悪原因の10の下位側面を用いて検討を行った。他者への嫌悪傾向と自己の嫌悪的言動傾向との相関が全体的に負の値を示していたことから、ある側面で他者を嫌いであるほど自分にはその側面はないと思う傾向が全体的に示された。しかし、「計算高い自己演出」と「横暴な言動」の2側面については弱い負の相関が示されたが、それ以外の側面においては相関が非常に弱かった。これは、本研究で用いた項目が嫌悪原因項目をもとにしていたため、ネガティヴな項目となり、それに対して社会的望ましさの効果が働いたため、自己の嫌悪的言動傾向の平均値が全ての側面において全体的に低くなったからではないかと考えられる。これらのことから、対人嫌悪が類似性効果だけでなく望ましさ効果によって説明される可能性が示唆された。
- 立正大学心理学研究所の論文
- 2010-03-20
立正大学心理学研究所 | 論文
- 遺伝学とニューロサイエンスの進歩が精神医学・心理学へ与える影響
- 情報回帰速度モデルに基づく集団遷移モデルの事例的検討
- 日本における高齢者介護支援者としてのフィリピン人の社会・心理的適性の研究--日本の少子高齢化とFOWの受け入れについて
- 感性評価のモデル化に関する試み(2)香りの感性表現について
- 感性評価のモデル化に関する試み(1)私的生活空間内の行動状態の感情評価について