消防職員のためのPTSD 予防チェックリストの作成
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概要
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本研究では、全国から無作為に選ばれた消防職員を対象として、職務上の体験がもたらす急性ストレス反応を検討し、PTSD の発症を予測しうる急性ストレス反応の測定尺度の作成を試みた。無作為抽出された日本全国の消防職員1914名に対して、衝撃的な体験の有無と体験中および体験直後のストレス反応を尋ね、改訂版出来事インパクト尺度(IESR)を実施した。職務上衝撃的な体験をした者は全体の880名(58.1%) であった。衝撃的な体験からの経過期間を統制し、体験中および体験直後のストレス反応とIES-R 得点との偏相関係数を算出した。有意な偏相関係数がみられた19のストレス反応の該当数を集計し、活動時の症状得点とした。この得点ごとに、IES-R に基づくPTSD ハイリスク者の割合を算出した。その結果、ストレス反応が多いほどPTSD ハイリスク者の割合が高くなる傾向がみられた。具体的には、ストレス反応が4つ以上みられた者では20%を越え、8つの反応がみられた者では60%に達した。この結果を基に、「PTSD 予防チェックリスト」と命名された急性ストレス反応の測定尺度が提案された。この尺度を用いて衝撃的な現場活動後にストレス反応がどの程度生じているかを調べることにより、PTSD の危険性が推定できると考えられる。
- 立正大学心理学部の論文
- 2007-03-31
立正大学心理学部 | 論文
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