中国の産業連関表作成について
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概要
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中国では,1981年以後5年ごとに『産業連関表』基本表の作成が続けられている.最新の2002年表作成における最大な特徴が投入産出調査の実施および「工業統計」の利用である.投入産出調査は全国規模で実施され,調査対象によって「全数調査」と「重点調査」に分けられる.投入産出調査の「全数調査」は専ら大企業を調査対象とし,製品の投入構造を明らかにするための生産アクティビティー・ベースでの調査である.「重点調査」は標本調査に相当しており,調査対象を鉱工業の中堅企業や中小企業,サービス業や建設業の重点企業としている.基礎統計である「工業統計」は主に中堅企業や中小企業の投入構造を示す「投入構成表」を作成する際に使われる.2002年表の作成は鉱工業部門についての生産規模別の「投入構成表」を作成することから始まる.次に「投入構成表」に基づいて購入者価格評価の産業連関表が作成される.そして「流通費用マトリックス」が作成され,それを用いて購入者価格評価表を生産者価格評価表に変換する作業が行われる.生産者価格評価表は公表されている.本稿では,「2002年中国産業連関表」の作成過程を明らかにすることを研究目的としている.あえて指摘するならば,2002年表の「産業」が産業連関分析理論における「産業」の意味合いと異なり,2002年表の投入構造も商品ベースでの投入構造になっていないという2点である.これらを改善するためには,投入産出調査はもとより,工業統計調査も調査対象を「企業」から「事業所」(establishment)に変える必要があろう.またよく整備された「標準商品分類」を投入産出調査や工業統計調査などにおいて利用することも望まれる.
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