日本における公的年金制度と消費格差
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概要
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本稿の目的は,日本における公的年金制度によって引き起こされる「世代間」所得再分配効果と「世代内」所得再分配政策が,消費格差及び社会厚生にどのような影響を与えるかを,動学一般均衡モデルに基づいて,シミュレーションを用いて明らかにすることである.本論文の特徴は以下の4点である.(1) Abe and Yamada (2006)に基づいて恒常的所得ショックを設定し,日本経済の所得格差をカリブレートする.(2)基礎年金と厚生年金保険の二階建て構造を,緩衝在庫貯蓄モデルの下で,モデル化する.(3)政策シミュレーションから,基礎年金及び厚生年金保険が対数消費分散及び社会厚生に与える影響を詳細に分析する.(4)公的年金による世代間所得再分配だけでなく,同一世代内所得再分配政策の効果に関しても分析を行う.厚生年金保険料の変更は年齢・消費プロファイルを大幅に変更しその結果として全世代の対数消費分散を拡大させるが,世代内の消費格差には大きな影響をもたらさない.一方,基礎年金の変更は,全世代の消費格差への影響は非常に限定的であるが,同一世代内の消費格差を大きく低下させる事が明らかになった.また,シンプルな世代内再分配政策は全世代の家計の平均的な効用を高める事を示す.
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