脳性麻痺1症例に対するボツリヌス治療の経時的評価 : 筋緊張,他動的関節可動域および介護負担度の変化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ボツリヌス毒素A型を用いた治療(以下,ボツリヌス治療)を施行したアテトーゼ型脳性麻痺一症例について,その経時的効果を評価した.症例の粗大運動能力分類システムは5レベルで,日常生活は全介助であった.評価項目は下肢の他動的関節可動域および筋緊張,家族の介護負担度であり,評価時期はボツリヌス毒素の注射前,1ヵ月後,4ヵ月後であった.統計学的解析は,他動的関節可動域,筋緊張,介護負担度それぞれについてKruskal-Wallis検定を用い,危険率5%を有意水準とした.下肢の他動的関節可動域,筋緊張,介護負担度の経過は注射前,1ヵ月後,4ヵ月後の間に有意差は認められなかったが,個々の項目には著明な改善を認めた.膝伸展位での両足関節背屈可動域は,右側0度,20度,30度,左側5度,30 度,25度と著明な改善が認められ,両足関節背屈運動の筋緊張は注射前,1ヵ月後,4ヵ月後の順にModified Ashworth Scaleにおいて3,2,1と筋緊張の軽減の傾向があった.介護負担度では上着の着脱が5,2,2と介護負担の軽減を示した.ボツリヌス治療は筋緊張や関節可動域の改善に効果をもたらし,介護負担度の軽減にも貢献することが示唆された
- 高知リハビリテーション学院の論文
- 2007-03-31
高知リハビリテーション学院 | 論文
- 在宅における脳卒中患者の閉じこもりに関連する要因解析 : 自力で外出可能な患者の検討
- 在宅における女性脳卒中患者のうつ状態の特徴 : 心理的・社会的要因を中心に
- 痴呆老人におけるレーブン色彩マトリックス検査成績と作業活動との関係
- 徒手抵抗感の妥当性 : 筋力の実測値フィードバック施行の効果
- 立ち上がり直後の重心動揺に関する研究 : 手すりの設置及び使用方法での検討