地域リハビリテーション費用を負担する診療報酬,介護報酬の検討
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概要
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リハビリテーションが位置づけられている現行法下で事業は,健康保険法(老人医療を含む),介護保険法,老人保健法のうち医療等以外の保健事業,老人福祉法の4つに大きく分かれる.そして,それぞれの事業に要する費用の財源は,健康保健法に適用されるものが診療報酬,介護保険法に適用されるものが介護報酬,老人保健法のうち医療等以外の保健事業および老人福祉法に適用されるものが国・地方自治体の一般財源という仕組みになっている.2002年4月及び2004年4月に改定されたリハビリテーションの診療報酬で注目すべきことは,厚生労働大臣の定める患者について,早期加算点数が発症・受傷の日を起算日として,期間日数ごとに定められていることである.診療時間,セラピスト1人の取扱単位数,早期加算点数を併せてみてみると,診療報酬は医療の一部としてのリハビリテーションに対する対価であるとはいえ,あまりにも急性期に偏重したもので,結果として維持期リハビリテーションが軽視されている.表面上は,急性期・回復期と維持期の住み分けが明確になったようにみえるが,疾病構造の重篤化,重複化,患者の高齢化により,機能回復に時間を要することが恒常化していることからすると,回復期の期間の診療報酬を柔軟な設定にするなどの見直しが必要である.一方,介護保険制度においては,各介護保険施設(入所・通所)における理学療法士(以下,PT),作業療法士(以下,OT)の配置が,極めて低い基準であり,最低限のリハビリテーションを保障できていない.2003年4月の介護報酬の改定では,介護サービスの中で医療系リハビリテーションの必要性の高い利用者に対するサービスを充実するため,PT,OTが行う個別加算の算定が可能となり,介護報酬が見直された点は注目できるが,地域リハビリテーションの費用全体を大きく動かす改定にはなっていない.今後のPT,OTの配置基準は,各介護保険施設で利用者ごとに必要なリハビリテーションを提供できる体制を保障する基準に改められる必要がある.
- 高知リハビリテーション学院の論文
- 2004-03-31
高知リハビリテーション学院 | 論文
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