2008年岩手・宮城内陸地震により被災した地域における二次災害防止のための気象・融雪観測
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概要
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2008年6月14日に発生した岩手県南部を震源とするM7.2の直下型地震により,栗駒山を中心とする流域において甚大な土砂災害が発生した(1)。崩壊・地すべりの発生箇所は約3,500箇所,生産土砂量は約1.3億m3にも及び,山体崩壊に匹敵するような大規模斜面崩壊や河道閉塞(天然ダム)が数多く発生しているほか,斜面崩壊から流動化した土石流の発生や地すべり,落石など多様な種類の土砂災害が発生した。なお流域には膨大な土砂が堆積しており,今後の流出の危険性が高い。本地震は近年発生した内陸地震としては強震度観測として最大の加速度(地震学や地震工学分野で用いられる速さの変化の度合いを表す指標で,瞬間的な揺れの強さを表す)を示しており,土砂災害の規模が極めて大きく, しかもその形態が多様である。本地震により,死者17人,行方不明者6人の被害をもたらし,観測された最大加速度が地震観測史上最大と認定され,被害の大きさや日本が地震大国であることが,改めて世界的にも知らされるような災害になった。一方,本研究の対象地でもある岩手県一関市,宮城県栗原市は多くの積雪に見舞われる豪雪地帯として知られている。そのため,春先に発生する融雪現象によって,融雪に起因する地すべり等の土砂災害が多発する可能性がある。共に強震動を観測した地域であるため,地盤が脆弱になっている可能性が低く,今後の豪雨・融雪によって二次的害が生じる事が懸念されている(2)。そこで,地震発生以降の二次災害防災のために,地震発生以降において流域内5個所において気象・融雪観測を実施している。その結果を報告する。The Iwate-Miyagi Nairiku earthquake occurred on 14 June 2008. In mountainous are as, many collapses and landslides occurred, as did a debris flow. Since then, more un-stable sediments have accumulated. These regions also experience heavy snowfalls, which could contribute to a second disaster arising from heavy rains and snowmelt.Hence, we conducted weather and snowmelt observations at five study sites, in the hopes of preventing a second disaster. Here, we report our results.
- 岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センターの論文
- 2011-06-01
岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター | 論文
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