家蚕蛹及桑葉の養兎飼料としての価値
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概要
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蚕蛹及桑葉の家兎に対する飼料価値を試験するために日本白色種家兎につきて豆腐粕に乾草を加へたるものを基本飼料となし是れに蚕蛹又は大豆粕を添加して蛋白質源としての効果を検し或は基本飼料の乾草の代りに乾燥桑葉を添加して其の効果を実験する。実験に於ては供試飼料に対する家兎の嗜好及発育につき体重の増加を検し又屠殺解体して兎体各部の重量及肉眼的検査を行ひ或は特に毛皮の量及脂肪の蓄積状態を検する。本研究に於ける7回の実験結果を要約すれば次の如くである。蚕蛹及大豆粕は家兎の嗜好に適しないが殊に大豆粕は之を好まない。但し蚕蛹は是れに生草を添へることにより著しく食欲を増進せしめ食下したるものは発育体重増加に有効である。而して蚕蛹は大豆粕に優る。即ち蚕蛹を添加したる区の屠体量は基本飼料区及大豆粕添加区のものよりも大となる。又蚕蛹添加飼料を与へたる家兎には脂肪の蓄積することが多い。肉の水分は脂肪の含量に関連して蚕蛹添加区のものに少き傾向がある。蚕蛹は家兎の毛皮の発育に対して特殊の効果を示すが如く生体量に対する毛皮量が多くなつている。桑葉は家兎の嗜好に適し発育に極めて有効である。桑葉を与へたるものは乾草を与へたるものよりも屠体量及毛皮量の大なるは栄養の良好なる結果と考えられる。又桑葉区の家兎には脂肪の蓄積量も多く肉には水分が少ない。之を要するに蚕蛹及桑葉は家兎の飼料として用ひられるものにして風味の点につき給与量を適宜改善すれば其の価値は更に増大するものと認める。本研究の試験各区家兎の発育状態を体重を以て示せば付図の通りである。
- 農林省蠶絲試驗場の論文