スギ、ヒノキ板材の相対湿度の変化に伴う含水率と寸法の変化
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概要
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壁材や床材に使用される幅112~120mm、厚さ15~30mmのスギ、ヒノキ板材の、相対湿度の変化に伴う含水率と寸法の変化について乾燥方法、木取り、厚さならびに塗装の有無で検討した。結果は以下のとおりである。1)ヒノキ板材(幅125mm、厚さ32mm)は初期含水率や木取りが異なっていても、熱気乾燥(乾球温度60~80℃)により72時間で含水率10~12%に乾燥できた。2)ヒノキ板材の相対湿度の変化に伴う含水率の変化では、木取りや塗装の有無による大きな違いは認められなかった。また、吸湿、放湿条件とも条件の変化直後に、含水率の変化が大きくなった。3)ヒノキ板材は相対湿度の変化による含水率の増減量が同様でも、木取りにより幅と厚さの寸法の変化が異なった。したがって、人工乾燥で10~12%程度に乾燥した材を使用しても、木取りにより寸法の変化が異なるため、施工に際しては木取りに留意する事が必要と考えられた。4)スギ板材は厚さや乾燥方法が異なると、相対湿度の変化に伴う含水率の変化が異なった。すなわち、厚さが同じでも人工乾燥材の方が仕上がり含水率が低かったために、吸湿による含水率の増加量が多くなった。また、含水率が同様な12mm材と30mm材では、12mm材の方が含水率の増加量は多くなった。また、吸湿条件では塗装の有無による含水率の増加量に違いは認められなかったが、放湿条件では無処理材の方が含水率の減少量が多くなった。5)スギ板材の含水率変化に伴う寸法変化について、吸湿条件終了時に同様な含水率になった12mm材の天然乾燥材と人工乾燥材で比較すると、含水率の減少量が同様であっても、寸法の変化率は人工乾燥材の方が小さくなった。したがって、使用中の寸法の変化を小さくするためには、人工乾燥により適切な仕上がり含水率に乾燥することが必要と考えられた。
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