堆肥連年施用による雑草発生量の変化とその要因の解明
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概要
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近年,堆肥を活用した栽培が普及してきたが,それに伴い堆肥施用圃場で発生する雑草の種類およびその量が化学肥料施用圃場とはかなり異なっていることが観察されている。しかし,作物生産圃場でのその詳細な実態についての報告はほとんどない。そこで,本研究では,堆肥施用の有無による雑草発生の差異の実態とその要因について検討した。2002年から2008年までの7年間,両圃場でスイートコーンを栽培し,4~7年目に調査を行った。本試験での化学肥料施用圃場は化学肥料(N,P2O5,K2O,各10kg/10a/年)を施用した。堆肥施用圃場は,堆肥(2tDM/10a)および化学肥料(年次によりN,P2O5,K2O各0~2Kg/10a)を施用した。さらに,堆肥施用開始時の変化を明らにするために,堆肥施用履歴のない新規圃場に2007年から同様の試験区(堆肥区の化学肥料はN,P2O5,K2O各2,10,10kg/10a)を設定し,同年と次年度に調査した。結果は以下のとおりである。両試験において,化学肥料施用圃場では,常にメヒシバが優占した。これに対して,堆肥施用圃場では,メヒシバのみでなく,広葉雑草(ホソアオゲイトウ,アメリカタカサブロウなど)が優占する年もあった。スイートコーン栽培期間中と収穫後の雑草の総乾物重は,化学肥料施用圃場に比べ堆肥施用圃場で堆肥施用初年目から明らかに上回る年があった。土壌中の硝酸態窒素濃度は,化学肥料施用圃場に比べ堆肥施用圃場で上回る傾向が見られた。以上のことから,堆肥を施用することによって,優占雑草種に大きな変動が生じるとともに雑草の乾物重が増大する傾向にあることが明らかになった。この変化の要因としては,堆肥の連年施用による土壌中の硝酸態室素の増加にあると考察された。
- 東京農業大学の論文
- 2012-09-00
東京農業大学 | 論文
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