農産物生産過程における温室効果ガス排出量削減の付加価値評価
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概要
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温室効果ガス削減に関する農家の努力は,農産物の付加価値として,より高い価格では販売することは可能であろうか。また,温室効果ガスの削減率の増加につれて,限界効用逓減の法則に従い,追加1当たり支払意志額は低減であろうか。もし,そうであれば,農家としてどの程度の削減努力を行うのが妥当であろうか。このような問いに答えるため,20代以上の女性に対して,インターネットサーベイを行い,2062名から回答を得た。そして,米5キログラムを対象に,温室効果ガス排出量削減に配慮した米への選好について,順序プロビット・モデルを用いた分析を行い,以下の結果を得た。回答者は二酸化炭素の追加1%削減当たりの支払意思額は5%~10%間が最も高く10。10円となり,10%~20%間が6。13円,20%~50%間が4。59円,50%~70%間が0。89円と逓減した。他方,70%~100%間では上昇し4。20円となった。この結果から,削減が少量であったとしても消費者は削減を評価しており,温暖化問題に配慮した農産物を販売する場合,まずは,生産者は少量の削減に取り組むことが効率的だと考えられる。他方,100%に近い削減に対しては,消費者は新たな価値を見いだしていることも明らかになった。また,湯室効果ガス排出量を削減した農産物を相対的に高く評価するのは,若い世代や年収の高い消費者,農家の取組に関する知識が多い消費者であった。
- 九州大学大学院農学研究院の論文
- 2012-09-00
九州大学大学院農学研究院 | 論文
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