放線菌の転写及び翻訳系の改変による潜在能力の開発と抗生物質の探索
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概要
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ゲノム生物学の飛躍的な進歩に伴い,様々な微生物の全ゲノム配列が次々と解読されている。その解析結果から,微生物,とりわけ代表的な抗生物質生産菌である放線菌においては,有用な二次代謝産物の生産に繋がる遺伝子の多くが潜在的に存在していることが判ってきた。従って,放線菌における潜在的な二次代謝産物の生産能力を引き出すための手法を確立することは,放線菌利用の高度化に向けて極めて重要な課題となっている。我々はこれまでの研究で,薬剤耐性変異(リファンピシン耐性変異やストレプトマイシン耐性変異など)を利用して放線菌細胞内のRNA ポリメラーゼ(転写)やリボソーム(翻訳)を改変することで,放線菌の潜在的な二次代謝産物の生産能力を効率よく活性化できることを証明してきた。実際にこの原理を通常の培養では抗生物質をほとんど生産しないStreptomyces属の放線菌に活用して,新しい抗生物質ピペリダマイシンを発見することにも成功した。本総説では,我々が開発した放線菌の潜在能力活性化技術の原理とその利用の高度化に向けた新たな取り組みについて紹介する。
- 信州大学農学部の論文
- 2012-03-00
信州大学農学部 | 論文
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