スギの個体内変異の利用(5)
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概要
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これまでに、実生のスギの12年生木と老齢木(約200年生)について、地際から発生している萠芽技と樹幹の上部に着生している枝の針葉形態が異なることや、前者は後者に比べて著しく挿し木発根性が良好なことを明らかにしてきた。また、それらの挿し木クローンを元の枝の着生していた高さ別に低台採穂木に仕立てた時に、その萠芽枝の針葉形態および挿し木の発根性が引き継がれることを明らかにしてきた。今回、育成して40年を経過した低台採穂木についても、依然その発根性が維持されることを明らかにした。さらに、この低台採穂木から育成した挿し木造林木の初期成長についても両者に差がみられ、地際枝採穂木の挿し木が上部枝採穂木を上回ることを明らかにしてきた。また、この低台採穂木から育成した接ぎ木造林木の初期成長についても、植栽2年後から地際枝台木区が上部枝台木区を上回る成長を示すことを明らかにしてきた。今回、その後の生育状況を調査し、両者の成長差は年々増加し、植栽3年後から17年後まで危険率1%で有意差が認められることを明らかにした。挿し木だけでなく、接ぎ木の場合にも両者の成長に差がみられたことにより、これは挿し木発根性に由来する根量の差のみによるものでなく、元の穂木の生理的な齢の違いによるものであり、地際からの萌芽枝は生理的に若く、それが低台採穂木に仕立てることにより、穂木が生理的に若いまま維持されたことによるものと考えられた。
- 兵庫県立農林水産技術総合センターの論文
- 2012-03-00
兵庫県立農林水産技術総合センター | 論文
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