リンドウ種苗生産のための組織培養システム
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概要
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岩手県が育成したリンドウの多くはF1品種であることから,自殖劣性の特性を有するリンドウの親株の維持・増殖に多大な労力を必要としている。そこで,圃場よりも省力的かつ効率的に維持・増殖が可能な組織培養を利用した種苗生産システムを構築するため,葉片培養,越冬芽ディスク培養,液体振とう培養の手法について検討した。葉片培養においてMS培地にナフタレン酢酸0。5mg/l,チジアズロン10。0mg/lおよびショ糖3%を添加した培地(GC2培地)で培養することによりカルス形成とシュート形成が可能であるが,系統間差や個体差,外植片の条件などの詳細についても検討した。また,培養中に形成した越冬芽の節を1節含む5mm厚に切り出した組織(越冬芽ディスク)をGC2培地で培養することによりカルス及びシュート形成がみられる越冬芽ディスク培養が可能となった。越冬芽を形成した幼植物をホルモンフリーのMS液体培地に継代培養し,120rpmで液体振とう培養による増殖が可能となった。さらに,葉片培養由来のシュートを15℃の低温培養により越冬芽を誘導し維持することが可能となった。以上の手法を組み合わせることにより,一部の系統を除き組織培養による増殖,系統維持,及び発根馴化までの一連の工程が実用可能と考えられた。さらにこれらの技術を総合化して,実際の種苗生産を想定した作業工程,系統別・培養手法別の難易性を整理した。以上のことから,組織培養を利用したリンドウの種苗生産は,優良種子の安定供給と効率的な育種の推進に貢献するとともに,リンドウ生産農家の経営安定と,計画的な産地形成につながるものと期待される。
- 岩手県農業研究センタ-の論文
- 2011-10-00
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